せっせとスイムウェアを縫う日々である。泳げていないくせに、売れていないくせに、それでも作るということは、もはやそれ自体が目的なのだろうな。やっていて、救われている心の部分というのがたしかにある。思えば人生で、流転しつつ、常にそういうものはあった。心が救われると言うと、まるで逃避的な行為のように聞こえるかもしれないが、実は逆で、そのときどきでがむしゃらに取り組んできたあれやこれやの、その炎にくべている薪とは、要するに情熱というものだろうと思う。情熱って、ちょっと言葉として使い古されすぎていて、また嫌なイメージも付きすぎていて、真正面から使いづらいところがあるけれど、われながら惚れ惚れするような、新パターンのスイムウェアの出来栄えを見るたびに、ここまでに至った原動力が情熱じゃなくて一体なんだろう、と思うのだった。そのくらいにすばらしい新パターンスイムウェアの、最近作ったものを紹介してゆく。
まずこちら。
デニム調の格子柄。わりと穏当な、穿きやすい柄だと思う。中央部の柄がきちんと合っているので見栄えがいい。柄とは関係ないが、ギリギリのラインを攻めたボックス型という、新パターンの絶妙さにやはり感心する。
続いてこちら。
青と白が基調の、爽やか系迷彩柄。爽やか系迷彩柄ってなんだろう。どんな戦争のとき、こんな迷彩柄が必要になってくるんだろう。ぼくらの七日間戦争とかかな。
続いてこちら。
ほんのりピンク系幾何学柄。これまであまりなかった色調。柄合わせがやっぱり秀逸で、柄合わせが上手だなあ、とじっくりその部分を眺めているあなたは、すなわち男性器の膨らみを凝視しているのだ、男性器を覗くとき男性器もまたこちらをのぞいているのだ。そしてあまりそう凝視されると、思わず柄が盛り上がってきちゃって、幾何計算をやり直さなくちゃいけなくなる。
続いてこちら。
北欧風の、葉っぱかな、葉っぱ柄だと思って作ったけど、画像をこうしてよく見てみると、そんなに葉っぱでもないな、なんかまあ、そんな柄だ。あとこれも作ってから思ったのだけど、プールでこんな白が基調の水着を着ている人はあんまりいない気がする。最近プールに行っていないので、そのあたりの感覚が衰えていた。まあ風呂で実験したところ、透けはしないので問題はない。
最後がこちら。
とても素直な、青地に白ドット柄。子どもの水着かよ、と言いたくなるような無邪気な柄だが、そんな柄でこの、面積の小さい、脚の付け根中央部がノビタットレなスイムウェアを作るというところに、独特の情趣というか、背徳感というか、勝算がある。なんとかブルーとかじゃなく、本当に「青」としか言いようのない青なのがいい。
今回は以上5点の紹介でした。
いつも生地を買っているお店は、10センチ単位で生地が買えるのだけど、今回から模造紙に型紙を置いてシミュレーションをし、何十センチ買えば何枚作れるかというのを、きちんと探ってから買ったのである。これも情熱のなせる業だろう。それにより、ある長さを買うことで、1柄ごとに4枚作れるようになった。
各柄1枚は自分用なので、3枚が販売用である。本当に、異様に作る。業者なのか。そしてこれ以降もまだ続々と作っている。また近いうちに紹介することになると思う。
ちなみに今回から、各画像がフリマサイトの販売ページへのリンクになっているので、たいへん便利である。買いやすい。新パターンなのでお値段は2500円。やしーよ!