Nobitattle スプリングコレクション2

 
 実はちょっと売れた。去年2枚しか売れなかったNobitattleだったが、ちょうど暖かくなってきたタイミングで仕掛けた旧パターン売り尽くしセールはなかなか効果的だったようで、立て続けにポツポツと売れたのだった。とても嬉しい。さらには新パターンのほうも、1枚だが売れたので、それもとても嬉しく思っている。ぜひ今後もこの流れが続いてほしいものである。
 ところで、まだ動きがなかった時期に、販売ページの文面にキャッチコピーのようなものを置いたらいいのではないかと考えていた。フリマサイトというものは、本分としては、前に買って今はもう要らなくなったものを売る場所であるから、説明文に凝る風潮はあまりない。実際、こんなにいいものですよ、ということを謳うなら本人が引き続き持っていればいいわけで、「いらなくなったので売ります」というスタンスがむしろ正しいのである。
 しかし僕の場合はハンドメイドで、同じ生地でも2~3点、同じパターンを使用した生地バリエーションは無数に販売しているわけで、この場合は、売り文句に策を凝らす理屈があると言える。ましてや作っているものが、わりとこだわりのある様式の水着である。その特長をズバッと際立たせるようなコピーを置けば、訴求が高まるのではないかと思った。
 ちょうどそんな折に、ひょんなことからChatGPTブームが訪れ、それまでは本気で自分で考えようと思っていたNobitattleスイムウェアのコピーだが、そんなのはChatGPTに考えさせるものだよ、そういうのがあいつはいっちゃん得意なんだよ、ということに気付き、いろいろな角度から考えてもらったのだった。
 しかしながら冒頭に記したように、そんな日々の中で何気にちょっと売り上げが立ったので、やはりフリマサイトという土壌もあり、逆にあまり主張をし過ぎないほうがいいのかもしれないぞ、となって、説明文にキャッチコピーを置くという作戦はとりあえず保留状態とした。また動きが鈍ったら(ちなみにここ1週間で早くもその気配はある)、そのときはまた考えようと思っている。
 しかし実際に使うかどうかは、そんなわけで定かではないのだが、ChatGPTに考えてもらったコピーはとてもおもしろかったので、使わないのはもったいなく、せめてこちらの新作発表の場では、そのコピーとともに紹介をしていくことにした。
 まずこちら。

隠すんじゃない。誇ればいい。Nobitattle.

 迷彩柄でありながら、隠さず誇れという、矛盾。しかし迷彩柄といいつつ、白ベースとなれば、肌にも馴染まないし、もちろん水の色にも紛れないわけで、なるほど隠す気など毛頭なく、むしろ勇ましく誇っているのかもしれないな、と思う。ちなみにこの生地は、販売しているフリマサイトで買った。フリマサイトで買った生地で作ったものをフリマサイトで売るという、飲尿健康法のような行為。
 続いてこちら。

縮こまってたのは、身体じゃなくて心だった。Nobitattle.

 時期がちょっと間に合わなかったのだけど、桜柄である。ほとんど白の花びらに、とてもほのかな赤みが重なって、ようやく全体がピンク色に見えるという、桜の持つ上品さとはかけ離れた、どぎついピンク色だ。でも淡い赤みの生地では水着は作れない(作ろうと思えば作れるが、肌に同化し過ぎて諸問題が発生する)ので、これくらいでいいんだと思う。そうか、冬の間縮こまっていたのは、ちんこじゃなくて心だったのか。たしかにな。
 続いてこちら。

胸を張るってこういうことかもしれない、って思った。Nobitattle.

 格子柄である。モノトーンで潔い。Nobitattleってほら、形状も相俟って、生地の柄によっては、ちょっと変態っぽくなったりするじゃないですか。その心配がこの生地では一切ない。健全だ。健全だと言いつつ、格子柄というのは中央の立体性が如実に可視化されるなあ、とも思う。まっすぐな線が、ちんこの出っ張りのせいで歪むのだ。でも、だからこそ、出っ張って、胸を張って生きていけばいいんだと思う。あと先端の生地の縫い合わせ部分の柄が、以前の格子柄のときにも書いたが、陰唇の裂け目のような出方になるので、その点もポイントが高い。返す返すも、とても健全な生地である。
 続いてこちら。

もう子どもじゃないんだね。Nobitattle.

 和柄である。紗綾形文様というらしい。和柄なんて昔はぜんぜん魅力に感じなかったけど、年を取ってくると、昔から連綿と受け継がれてきた人々の思いのことなんかにも思いを馳せるようになり、なんかしらの形で受け継いでいくべきだな、などと思うようになる。というわけで水着を作った。つまりこれを穿けば、ふたつの意味で、もう子どもじゃないことが一目瞭然ということである。びっくりするくらいの赤さは、わりと無邪気だけども。
 最後にこちら。

そういうとこ、隠さねぇのな。Nobitattle.


ふざけてるくせに、そこだけ本気じゃん。Nobitattle.


ウエストじゃない、欲望で支えてる。Nobitattle.

 この連続の3枚はなんなのかと言うと、80センチくらいで1パネルの、グラデーションみたいな柄の生地を買い、それで作ったので、同じ生地は同じ生地だが、1枚1枚色の出方が違うのである。いつもは販売ページに「複数点製作しているので画像のものと柄の入り方が異なる場合があります」という注釈をしているのだけど、これの場合はそうはいかないので、それぞれのページを作った次第である。
 ちなみに僕自身の所有としたのはこのうちの3枚目、欲望で支えてるやつで、そういうとこ隠さねえやつと、そこだけ本気のやつは、それぞれの画像をリンクにした販売ページに飛んでもらえばさまざまな角度からの画像でグラデーションの具合を見てもらえるのだが、僕の私物のやつはそれを見る術が残念ながらあなた方には与えられていないので、特別にここにアップすることにする。

境界線の向こう、見たいって顔に出てるよ。Nobitattle.

 グラデーション生地、かっこいいな。もっとあればいいのに、ぜんぜん見かけない。
 それにしたってコピー、愉しい。これまで泳ぐことと水着作りが僕の趣味および創作の二本足であったが、そこにコピー作りという要素まで加わって、これはもはや3本目の足だな、という威容になってきた。そのくらい愉しい。そのくらい盛り上がっている。