移動ポケット


 本日のハンドメイド、という頻度でのnwの投稿である。なにしろ時間があるのでいろいろ作る。逆にいえば、ハンドメイドという趣味がなかったら相当に暇だろうなと思う。
 というわけで本日のハンドメイドは、移動ポケットである。
 

 移動ポケットとは、ポケットサイズの小袋を、背面のクリップでズボンのベルトのあたりに自由に取り付けるという、ウエストポーチとポケットの合いの子的なもので、主に子どもが用いる。子どもがポケットティッシュやハンカチ、あるいはどんぐりとかを入れるためのアイテムである。ちなみに参考にした本には、シュッとした作りにすれば大人が付けるのもありですよ的な提案がなされていた。いわれてみれば僕は縫製工時代、夏場でエプロンが暑い時期は、美容師が使うような小袋をカラビナでベルトループに取り付け、そこへ小鋏や目打ちを入れていた。思えばあれも移動ポケットだ。
 今回作ったのはぜんぜんシュッとしていない、どこまでもお子様用である。3つ作ったが、作りはどれも一緒で、表布だけが色違いだ。紺色がポルガで、ピンクがピイガで、紫色がファルマンの妹の娘用である。今回は思うところがあり姪の分も作った。
 写真だと底が円形のようだが、そうではない。マチ仕様になっていて、撮影時は中に何も入れなかったため、このような形になった。蓋のヒットくんはアップリケふう。縁を細かいジグザグミシンで下の生地に縫い付けてある。顔は刺繍。ボタンはただの飾りである。


 蓋を開けるとこのような感じ。内側の黄丸の生地も3点共通。それぞれ、ポルガの紺色とピイガのピンクは、幼稚園や小学校で使うエプロンのために買った生地だし、蓋の内側の茶色ベージュドットは、ピイガの小学校の手提げ袋に使った生地だし、内側の黄色は春に作った布マスクで使った生地で、個人的に感慨深い。余り布で作れるものって、こういう愉しさがあるのか。パッチワークというのも、つまりこういう喜びなのかもしれない。
そして今回作ったこれらには、実は明確な使い道が想定されており、マスクを入れるのに使う。ちょうど僕が作ったマスクが入る大きさになっている。子どもたちと出掛けたとき、店や施設ではマスクを着用し、車内では外すのだが、その際に落としただの踏んだだのと毎回やかましいので、外すときはここに入れることとする。そんな、とても実用的なお助けアイテムなのだった(マスクの販売はしないという結論に至ったが、これなら売るのもありなんじゃねえかな、と考えている)。今回に限ってわざわざ姪の分も作ったのは、姪は僕の布マスクをとても喜んで着けてくれているらしいからだ。
 余談だが、最初、口のステッチまでして、つまり閉じてから気付いたのだが、当初は「papapokke」ネームを縫いつけておらず、蓋を閉めた状態の下半分、表布の部分がなんとなく寂しかった。作ってみたけどなんかここ寂しいなあー、と少し考えたのち、ようやく「papapokke」ネームの存在を思い出し、慌ててステッチを一部ほどいて後付けで縫いつけたのだった。移動『ポケット』なのだから、なにはなくとも「papapokke」ネームだろう、という話だ。なぜ作る前に思い至らなかったかと思う。縫いつけてみたらごらんの通り、なかった状態が信じられないほどのしっくり具合である。やあよかった。