オリジナル生地トートバッグ

　

『オリジナルキャラクターが好きで、オリジナルキャラクターのグッズがあればいいとずっと思っていました。
　思えば裁縫を始めたきっかけも、本来はそこにあったのです。身に着けるものにオリジナルキャラクターの絵が描いてあったら最高だな、と。
　最初に考えたのは、生地に布用のペンで絵を描く方法でした。しかし一発描きは難しいし、色塗りもうまくいきません。
　次に消しゴムはんこに挑戦しました。これはまあまあ性に合い、一時期は狂ったように彫りまくりました。しかしはんこは基本的にモノクロだし、なによりワンポイントにしかなりません。
　その次に挑戦したのは刺繍です。いっそのこと刺繍でキャラクターを描いてはどうか、と。しかしこれもまた技術は副産物として身についたものの、やはり刺繍でキャラクターを描くというのは、所要時間からして現実的ではありませんでした。
　それからアイロン接着シート、およびカッティングマシーンの存在を知り、そちらにも手を伸ばしました。これはこれでおもしろく、Ｔシャツを何枚も作ったりしましたが、やはりこれもモノクロだし、やり方としてなんとなくズレている気持ちが拭えませんでした。

　そんなときに知ったのが、オリジナルの生地を注文できるサイトの存在です。なんだよこれだったんじゃないか、と私はようやく求めていたものにたどり着きました。

　しかしこれまでの長すぎた遠回りも、決して無駄ではありませんでした。この遠回りによって、私は期せずしてさまざまな技術を身に着けることができました。』

　という文章をminneの「作品説明」の欄に書いたところで、ファルマンに相談したら、「それはブログに書いて、minneには作品の説明、大きさとか素材とかを書きなさい」と忠告を受けたので、そうした。

　というわけでこのたび出品した、「ヒットくんオリジナル生地トートバッグ」である。

　思わずそんな感極まった文章を書いてしまうくらい、ようやく出会ったな、というサービスで、本当に、なんのことはない、最初にこれを知っていたら僕はひたすらこれで袋物を作るだけのことをしていればよかったんじゃないか、と思わずにおれない。

　そのくらい、生地が届いたときは嬉しかったし、それでトートバッグを作ってみての感動も大きかった。これは本当にいいバッグ。すごくかわいい。しかしなにぶん生地代が嵩むので、代金は少々する。売価は3500円。いや、安いんだよ。原価と作業量からすれば、だいぶ安い。だけど世の中、世の中というかダイソーとかに、あまりにも安いものが溢れているため、3500円のトートバッグは高いような気がしてしまう。光浦靖子も嘆いていた。個人が材料を買って、時間をかけて作ると、どうしても大量生産より値段が高くなってしまう。逆に、100円ってどういうことだよ、と思う。どういうこともこういうこともなく、誰かしらが泣いているのだ。つらい。儲かっている一部のサイコパス以外、この世はつらい。

　売れたらまた生地を発注しようと思っている。