スタンドカラーのブラウス


 襟腰しかないみたいな襟の、いわゆるスタンドカラーのシャツというのが、2年前くらいから流行っているような気がする。あの襟はいいな、と前から思っていた。一方で、なぜか時を同じくして、第一ボタンは閉めない、そもそも従来第一ボタンがある位置にボタンの機構がなく、パジャマのように首元を開くシャツというのもよく見かけた。あれは非常に好きじゃない。普通に柄が悪いと思う。感覚的に、マッシュルームカットの指向がある人間はスタンドカラーのシャツを、ツーブロックの指向がある人は開襟シャツを着る傾向があると思う。
 それで先日ものの本を読んでいたら、女性物だが、スタンドカラーのブラウスの作り方が載っていたので、作ってみることにした。君用に作ってやるよ、とファルマンにいったら、店で服を買うという行為が嫌いでしょうがないファルマンは大いに喜んだ。
 というわけで出来上がったのがこちらである。 
 

 うまくいくかどうか分からなかったので、生地は手芸屋で本当に安い、1メートル500円くらいのものを選んだのだが、作ってみたら思ったよりもよかった。形もいいが、色もいい。お店ではなかなか見ない色だと思う。ファルマンもかなり気に入ってくれて、頻繁に着ている。先日の免許取得の際にもこれを着ていって、免許センターの背景の青と見事なまでに同化し顔だけが浮かんでいるような写真になった、という出来事があった。
 思った以上にいい具合に仕上がるので、さらに作ることにした。そして、どうせ自分で作るのならば、本当に店では売っていないような感じで作ろうと思い、襟とカフスだけ使う生地を変えて、ツートンにしてみた。
 できたのがこちらである。
 

 皺がすごいように見えるが、カメラの具合によるもので、現実ではここまで皺くちゃな状態で着ているわけではない。色味は自分のディスプレイで見る限りありのままで、本体はうぐいす色で、襟とカフスは山吹色となっている。


 ボタンは赤。かなり独特な感じに仕上がった。なるほど店では売っていない。売っても売れないだろう。でもかわいい。これぞハンドメイドの醍醐味だろうと思う。
 さらには同時進行でもう一着作っていた。


 こちらは本体が少し淡い黄色で、襟とカフスには、1枚目の鮮やかなターコイズめいた青を使用した。特にこちらを作っていて感じたことだが、服ってこうしてツートンにすると、やけに制服めく。衣装めくということだろうか。あまり現実的な服装ではないような気になる。


 かわいいのだが、かわいいのだけど、しかし少しネパール料理店の店員のようでもある。なるほど、だからあんまりこういう遊びをした服って売っていないんだな、と思った。
 でもファルマンからの評判は上々なので(肩が凝らないらしい)、また作ろうと思うし、作るとなったらツートンで作るだろうし、なんとなく僕も袖を通してみたら、女性用のSサイズの型で作ったのでもちろん少し小さかったのだけど、本にはLサイズも載っていたので、それの型も取って、自分用にも作ってみようかなと思った。肩や袖にギャザーが入るのだが、もはやそんなことを気にする僕ではない。
 そしてファルマンは最近、この3枚の服をヘビロテで着て、さらには誕生日プレゼントであげた僕の手作りバッグを持って出掛けている。仕上がってきたな、としみじみと思う。