そんなある日、図書館で服やバッグを目的に裁縫本の棚を眺めていたら、手作り帽子の本があるのを見つけ、そういえば前からそういう類の本が目には入っていたものの、自分には無関係だと気に留めていなかったが、帽子もまた自分好みのものを自分で作ればいいんだな、と思い至った。
というわけで作った。
僕サイズに作ったものだが、モデルをポルガにお願いしたため、大きい。しかし顔が隠れて好都合である。
見ての通り、ごく普通のキャスケットである。売ってるやつである。できた。できるんだ。
しかも作ってみたら、思っていたより材料も労力も簡素で、なんだか拍子抜けした。緑色が主体のチェック柄の、ウールめいた、あまり安っぽくないポリエステル生地なのだが、実はこれ、ダイソーで買った。ダイソーではぎれとして100円で販売していたものが、1枚ではさすがに足りなかったが、2枚あれば十分だった。
内側はこのようになっている。内布は家にあったもの。以前働いていた縫製工場でもらったものなので、実は表地よりも、いい生地だと思う。頭に触れる部分には、本に書いてあった通りサイズテープなるものを縫い付ける。これをすると途端にちゃんとした帽子っぽくなった。ツバの部分には、世の中には帽子のツバ専用のプラスチックの製品があるらしいが、見たら1枚でわりといい値段がしたので、これでいいんじゃないかと、こちらはセリアで、バッグの底板という商品を買い、それを三日月形にカットして挟んで縫った。これがちょうどよい硬さと柔らかさで、ぜんぜん問題なかった。
かくして、材料費としてはたぶん400円くらいで、帽子が出来上がった。
ひとつ作って、できることが明らかになったので、これから念願のバリエーション増加のため、たくさん作っていこうと思う。サイズテープももう業務用っぽいのを20メートル発注した。帽子が30個以上作れる計算である。これからしばらくは、自分のために作る。さすがに頭はひとつしかないのにこんなに帽子はいらないな、となったら子どもたちにも作ってやろうと思う。
少ない生地で作ることができるので、長らくタンスで眠っていたはぎれなども、帽子の材料として一斉に息を吹き返した感がある。なんなら、8枚のパーツを縫い合わせて作るのだが、8枚すべて同じ生地でなくてもいいのだし。手作りだからなんでもできる。愉しい。