キャスケットとペンケースと

 ピイガにペンケースをリクエストされる。ピイガは近ごろ、手作りのものがやけに好きだ。これまで使っていたペンケースも、僕の作った方眼紙柄のキャンディポーチだった。これについてファルマンはおべんちゃらで、「ピイガって本当にパパの作ったものが好きね」などと言うのだけど、きっとそういうことではなくて、人と同じものを持つのが嫌なんだろうと思う。そこへたまたま、やけにハンドメイドをする父親がいたものだから、一点物を作ってもらっているだけのことだと思う。
 ちなみに、なんだかんだで投稿するタイミングを逸してしまったのだが、「キャスケット その4」の生地で、あのあと娘たちにも同じ形のキャスケットを作っていた。
 

 だからこの夏、われわれ3人はひたすらあのキャスケットを被って過した。休日の外出などでは、3人が同じ柄の帽子を被っているものだから、お店の人とかに「お揃いなんですね」などと何度か声を掛けられた。ちなみにお揃いなんですね、はあったが、手作りですか? はなかった。まあ僕だって実際に自分で作るまで、帽子を自作するという発想はなかったものな。
 それで、リクエストされたペンケースというのは、自分が子どものころにはなかったからあまりよく存在を知らなかったのだけど、ファスナーを閉じていれば普通のペンケースのようだが、開けると左右が開き、底が広がって、自立し、ペンケースのようになるという、そういう仕組みのもの。実際どういうものかネットで検索したところ、作り方を指南しているサイトを見つけられた一方で、この形のペンケースはKOKUYOの特許なので勝手に販売したら怒られる、という情報を得た。そうなのか。もちろん僕がピイガに作ってやる分にはなんの問題もない。ということで作った。
 

 正面から見るとこんな感じ。閉じていても立つ。もう中身が入っているからだ。
 

 後ろから見るとこういう感じ。


 ファスナーを広くとこうなる。ガボンと開き、さらにはポケットもあるので、収容力は高い。


 授業中など、使用している最中は、上部のほうを折って、まるでペン立てのようにして使うらしい。自分が学生をしていた頃にこんなものはなかった。なるほど特許物だな。
 生地はお任せというか、ネットショップでいくらでも出てくる布を、ピイガと一緒に物色しては取り止めがなくなるので、自分ひとりで選んだ。検索ワードは「生地 ゴリラ柄」。そうしたらこれが出てきた。


 マスコット的なのではなく、わりとリアルなスタイルのゴリラというのがいい。ゴリラ以外にもちょっと不思議なセレクトの動物がいて、そのどれもが闇の中で夜目を光らせている。そんななんだかおかしな図案だが、なんとも言えず素敵な気もして、わりと即断した。発注の前にいちおうピイガにも見せたが、ピイガも気に入っていた。ペンケースにしても、やはりいい感じである。市販のものではないな、という感じがある。内側は一転こちらはキャラクター的な、いろんなミミズクが並んでいるほぼモノトーンの柄。ミミズクには特に思い入れはないのだが、期せずしてミミズクだけ両方の生地に登場している。
 これの作製前にひとつ試作しただけあって、なかなかいい仕上がりになった(キルト芯の厚みや貼り方を工夫し、ファスナーの開け閉めをしやすくしたりした)。十分に販売に足るクオリティであると思う。お値段は3000円でどうか。KOKUYOにこっぴどく怒られることだろうな。