子どもキャスケット その2


 子どもたちのキャスケットを作る。前作の紹介がつい最近だったので、まるで立て続けに作ったようだが、あちらは紹介が遅れたものであり、3ヶ月くらいの間が空いている。今回作ったのは、これからの記事を読んでいただければ一目瞭然だが、ピイガのペンケースを作ったことが契機となっている。季節的に、キルト芯などを使用し、冬仕様にしようかとも思ったのだが、それをしてしまうと本当に冬にしか被れなくなってしまうので、やめた。そりゃあニット帽ほどの防寒性はないけれど、ただのオックス地のキャスケットであったって、被らないよりは被ったほうが冬は暖かいだろう。子どもは熱が高いので、実際そのくらいでいい気がする。
 というわけで作ったのはこちら。まずはポルガ。


 文字通り情報量の多い画像である。帽子を作るにあたり、ポルガ向きのいい生地はないかとネットショップをさまよっていたところ、この生地を見つけ、即決した。
 元素記号がマス目できっちり並んでいる柄。周期表というわけではない。周期表は隙間があるからな。番号順というわけでもなく、並び順に特に意味はなさそうだ。そこに下手にこだわる必要はない。雰囲気が出ればそれでいいのだから。
 

 布に印刷されたものとは思えないほど、印刷がきれいなのがいい。はっきり言って、異様である。こんな生地、見たことない。多くの人にとって生まれて初めて見る異様な生地で、しかもキャスケットである。実にポルガ性が高い。画像のモデルはジョニファーだが、もうポルガが写っているように思える。そのくらいポルガ性が高い。
 

 頭頂部はこうなっている。てっぺんの梵天部分になにを持ってくるか、少し悩んだ結果、元素番号1の水素にした。イニシャルでもある。その周り、8枚はぎなので、8枚のクラウンの先っぽが小さい囲いを作っていて、なにぶんこんなデザインの帽子を作るのは初めてだったので、こういう感じになるとは思わず、大して意識せずに裁断をしたわけだが、こうなると分かっていたら、この8元素にはこだわればよかったかもしれない。今回は、「16硫黄」「45ロジウム」「42モリブデン」「43テクネチウム」「2ヘリウム」「20カルシウム」「30亜鉛」「11ナトリウム」という8つである。実にピンと来ない。じゃあ意識していたらどんな組み合わせにしていたか、という話だが、考えられるのは、人間の体を構成する比率が高いベスト8くらいか。それだと、「酸素」「水素」「炭素」「窒素」「カルシウム」「リン」「硫黄」「カリウム」ということになるらしい。やろうと思えばできた。しかし裁断で多くの無駄が出たろう。もしもまたこのキャスケットを作ることがあれば、そのときは考えよう。十中八九、ないけど。
 次にピイガ。


 そうなのだ。ピイガのペンケースを作るにあたってネットで生地を探し、それでこの生地を見つけ、その場でピイガに、「これで帽子も作ってあげるよ」と安請け合いをして、じゃあポルガにも作ってやらねば、ということになり、今回の製作と相成ったのだった。というわけでペンケースの共布である。ピイガは、これを被って小学校に行き、ランドセルからあのペンケースを取り出す。かわいらしいですね。


 ポルガの場合は内容重視だったので仕方なかったが、前回のキャスケットが白ベースだったので、どうせ作るならぜんぜん違う色のほうがいいに決まっている。そういう意味でこの生地はいい。服によって選んでもいいのだ。ちなみにゴリラがいい位置に来るよう、もちろんこだわった。プリムの鹿もいい。
 

 梵天に動物はどうしても入らなかったので、絵の中の星を切り取って使った。ちなみにこの画像だと分かりやすいが、今回の作から、縫い代にステッチを入れることにした。これまでは最初に参考にした本の通り、ステッチなどせず、アイロンで割っていたのだが、立体物にアイロンをかけるのってどうにも厄介で、これが帽子作りのハードルを大きく上げていた。それを今回、いっそステッチにしてしまえばいいのではないかと思い実行したら、果たしてとてもよかった。製作中、ほとんどアイロンを使うことなく作れた。これでとても楽になった。ポルガのほうも同じくステッチをかけていて、しかし絵柄が絵柄なだけに、ステッチで文字が途切れてしまうのは癪だなあと思っていたところ、ずっと前にダイソーで買った透明ミシン糸という存在を思い出し、どんなときに使えばいいのかさっぱり分からず(でも買う)放置していたものを掘り出して使った。そうか、あれは元素記号柄の生地で帽子を作るときに使うための糸だったのか。
 

 ふたりとも気に入り、毎日のように被っている。とてもいい。売れるな。