ショーツの先の世界

 
 先ごろ、ショーツが新しいフェーズに入ったじゃないですか。サイドがゴム紐だけになった、ああいうタイプのショーツ。受け持ちのクラスの生徒が、青い性的好奇心のあまり、あんなあられもないデザインのショーツを拵えてきて、参っぜ、というコンセプトショーツ。
 あれが、前回の記事で紹介したものから、ほどなくしてこうなった。


 注目すべきは、股間部の生地の、向かって右端。赤黒茶色いものが覗けているが、これはなにかと言えば、「ジョニロビ環境」で綴った、ショーツを穿かせたジョニファーロビンの、そのショーツに、きちんとちんこの形を浮かばせるため、わざわざ彩色までした紙粘土作品である。これがはみ出ているということはどういうことかと言うと、フロント部分の面積が、きわめて小さいということだ。これでもジョニファーは僕よりもひと回りほど太いので、僕が穿く状態よりも、画像のこの姿は生地が伸びている。実際はもっとつつましやかだ。つつましやかでいいのか、という話だが、さんざんショーツを作ってきた到達点として、いいのだ、と僕は明言する。ショーツって、極論、亀頭さえ覆えればそれでいいのだと思う。だから平常時に皮を被っているのなら、実はショーツそのものが必要ない。それでもさすがになにも穿かないと、ちんこも尻も野放図に垂れ下がってしまうので、その抑えのような観念で、最近の僕はショーツというものを捉えている。僕はひとりで世界よりも先に行き過ぎているかもしれない。
 そしてそんな布の面積の小さいショーツを作っていたら、次にこんな発想が生まれた。
 それがこのショーツである。


 どういうことか、画像では分からないだろう。実はこれ、ニット生地ではないのだ。2年前くらいに布マスク用に買った、コットンプリント生地である。つまり伸びない。伸びないが、このくらい布の面積が小さかったら、別に問題ないのではないかと思った。考えてみたら女性用のサテンショーツなんかも、別に伸びるものではない。ショーツは伸びる生地でなければいけない、などという決まりはないのだ。
 動きのある部分は、それに対応するために伸びる生地が望ましくて、そのためにこれまでニットという選択になっていた。男の場合、フロント部分は、状況や気候によってかなり内容物の体積が変動するわけだが、もう別に、ちんこをショーツに収めようという気概も失くしてしまったので、対応する必要がなくなったのだった。


 後ろはこのようになる。尻たぶは動いたり大きさが変わったりしないので、布帛でも本当に問題ない。もちろん周囲のニットテープを縫い付ける際、それなりのテクニックを用い、尻の丸みに添うよう立体的に仕上げてはいる。フロント部分の面積が小さくなったためにニット以外の生地という考えが生まれたという意味では、後ろもTバックなどにすれば本当に生地の特性に縛られることはなくなり、さらに言えば使用する生地の量も本当に少なくて済むようになるが、前にも書いたがTバックはどうしても好きになれない。女性のそれでさえ好きではないので、いわんや男のそれをやである。
 かくしてショーツ製作の生地選びの幅が、ぐんと広がった。さすがにキャンバスやオックスなどの目の詰まった頑丈な生地は使う気にならないが、薄手の、シーチング的なコットンプリント生地ならだいたい行けると思う。だとすれば、だいぶ世界が広がる。
 

 これもマスク用に以前に買ったもの。マーガレット柄。
 

 これはセリアで今回のために買った。猫のさまざまな表情のイラスト柄。100円のはぎれが、さすがにひとつでは作れず、2枚買った。Tバックならたぶん1枚で足りたと思う。


 はぎれは今時100円ショップでさまざまな柄が売られていて、ショーツには本当に少ない分量でいいので、ちょうどいい。100円ショップのはぎれって、もしかしたらショーツ用なのかもしれない。こちらはダイソーの、インクジェットプリントのシリーズ。精細な写真がプリントされたポリエステル生地。そのキウイフルーツ柄。


 こちらは同シリーズのジェリービーンズ柄。どちらも鮮やかで、穿いているとテンションが上がりそうだ。でも、なんというか、ふと立ち止まって、冷静な目で見つめると、少し、ほんの少しだけど、鮮やかであればあるほど、ちょっとやっていることがさすがに変態的ではないかな、という気もする。気もするが、気の迷いだとも思う。いまさら迷ってどうする。
 

 同じくダイソーで売っていたはぎれで、これが今回の中で筆頭だと思う。リトルツインスターズ柄。本来なら、女児のコップ袋などが作られたかもしれない、薄い水色と薄いピンクと薄い黄色のこの生地で、両サイドから赤黒茶色いビッグツインスターズが大幅にはみ出るショーツを作るという、行為。今また(へんた……)と気が迷いそうになったが(すぐになる)、がんばって振り払った。がんばりを評価してほしい。