ビキニショーツ製作漫談 11


 望外の出会いを果たしたたまご型発泡スチロール。たまご型はちんこの形に持っていきやすいというメリットのほかに、さらにもうひとつ、とてもいい点があるのだった。
 それがなんなのか、みなさん分かりますか。分かりませんよね。ヒントは、この型を使って作ろうとしている模型、それを作る必要を生じさせたショーツが、息子にのびのびと生きてほしいと願う親心から生まれた、その名も「のび助ショーツ」であるという点です。
 そうです。のび助の妻、すなわちのび太の母の名は、玉子なのです。のび太という名前を考えたのは父であるのび助ですが、しかしそれは夫婦ふたりの願いに他なりません。ですからここには、この取り組みには、母である玉子の存在も、なんかしらの形で表すべきでした。それがこのたまご型発泡スチロールによって実現したのです。のび助ショーツは、玉子型発泡スチロールによって、その形を完全なものとする。なんとよくできた話でありましょう。神の差配を感じられずにおれません。自分のやろうとしていることは、天命によるものなのだと確信しました。
 というわけでまず作ったのがこちら。
 

 玉子型を3つ使って、ひとつは真っ二つに割って左右それぞれの金玉肉袋とし、それを肉茎部分となる軸に接着。その先端を4分の1ほどカットし、そこへ横半分くらいにカットした別の個体を接着する。これが亀頭部となる。その結果、このような形になる。ちんこの形を忠実に再現しているというほどでもないが、金玉肉袋、亀頭、カリ首が、それなりの要件を満たしているように見える。
 しかしジョニファーに嵌めてみたところ、これはあまりよくなかった。全体的に丸みを帯びすぎていて、ちんこらしさに欠けているように感じた。玉子型との出会いに喜ぶ気持ちが抑えきれず、頼りすぎてしまったのだと反省した。
 しかし金玉肉袋は動かないと思った。ふたつに割った玉子型は、どこからどう見ても金玉肉袋だった。なのでその部分は変えず、他の部位を玉子型以外のもので作ることにした。
 というわけで完成したのがこちらである。


 肉茎と亀頭は、円柱の発泡スチロールから切り出して作製している。亀頭にほどよい丸みを作るため、何度も何度もカッターで削いだ。一刀彫の職人になったような気分だった。こだわったかいもあり、なかなか満足のいく仕上がりとなった。
 ちなみにこれは根元から先端までの長さが9センチしかない。それはどういうことかと言えば、これは平常時だ、ということである。当初の狙いであった、可動性のある仕組みは作れなかったが、ならば別ver.を作って、必要に応じて差し替えればいいのだと気づいた。
 というわけでこちら。
 

 勃起ver.である。我ながら上手にできた。金玉肉袋から亀頭にかけての部分で、両者を比較にしてほしい。平常時のちんこと、勃起時のちんこが、かなり高い解像度で表現できていると自負している。平常時に丸くなっているのが、勃起時にはみなぎってすっくとなるのだな、というのがよく見て取れると思う。
 

 比較するとこうなる。上から見ると、もうこれはほとんどちんこではないかと思う。果たして大丈夫か、この画像。
 ただし勃起のほうに関しては、(いまさらだが)デリケートなテーマにもなってくるので、別に自分のそれを忠実に再現したとか、そういうことではない、ということは明言しておく。なにしろ9センチの平常時のそれから類推できると思うが、勃起ver.といいつつ、実は根元からの長さは12センチしかない。なので、これが僕のものの再現だなんてちゃんちゃらおかしい。ジョークにもなりやしない。もしも忠実にやろうと思ったら、おーい、お前ちょっと、ダイソーに行って、この円柱の発泡スチロール、もう2本、いや3本、買ってきておくれよ、という話だ。急に落語みたいな語り口になった。
 忘れてはならないのは、ちんこ模型作りが殊のほか愉しかったもんで、つい忘れそうになったけれど、この作業の目的は、ちんこを前に突き出す系ショーツの、ちんこ部分の空間を埋めるための、マネキンの補助パーツ製作である。そのため、いくら空間を用意したからって、さしものニットでもさすがにそれは収まりませんよ、と匙を投げるほかない僕のそれを再現しても意味がない。勃起であることを示すには、このくらいでいいのだ。
 ということで完成した模型を、しかしそのままでは、根元部分が発泡スチロールのカクカクした状態であり、ジョニファーのつるんとした股間部には当てられないため、ここで今回のために購った材料、プラスチック粘土の出番がめでたく訪れ、温めて柔らかくしたプラスチック粘土を、ジョニファーの股間部に置き、その上にこのちんこ模型をギューと押しけた。そのまま冷やし、型が定まったところでジョニファーから外せば、画像の通り、発泡スチロールにプラスチック粘土が接合した、ジョニファーに付けやすい特製ちんこ模型の出来上がりである。すばらしい。これにより、次回の記事からやっと、玉子とのび助の切なる願いを乗せたショーツを紹介してゆくことができる。つづく。