先般から製作に取り掛かっている、僕が「のび助ショーツ」と名付けたタイプの下着は、世間では「ぞうさんパンツ」という名称で呼ばれていて、どれほどの規模かは分からないが、一定の需要があり、メーカーから供給がなされ、売買がなされている。
ちんこの置き場所というのは、35億人の男性の共通の問題なので、このタイプの下着の画像を見て、「なるほど」と思わない男はいないと思うし、「いちど試してみたいな」と思わない男も、35億人のうち8人くらいしかいないと思う。しかし見た目があまりにも異様というか、間が抜けているし、なによりこれまで穿いてきた下着とあまりに理念が違っていて、一言で言えばかなり変態っぽい感じがあり、なかなか導入の踏ん切りはつかない。僕も長らくそうだった。いちど手を出したら、一生消えない、なんかしらの不名誉な烙印を押されるような恐怖があった。それで結局いちども買わないまま、しかし自分で作るという予想外の展開へと至った。
ちなみにこのジャンルの下着のレビュー欄を見ると、「穿き心地が最悪!」などというコメントは一切ないと言ってよく、概ね、新しい扉を開いた感動が語られている。そうなのだ。なにぶん穿いた姿のビジュアルの異様さについては、画像を見て理解した上で購入をしているので言い様がなく、そうなると要点は穿いた感触ということになるが、それを悪く言う人は基本的にいないのである。それほど穿いた感触が抜群にいい、と言い切ることは、しかしできない。いいとか悪いとか、そういう尺度で語ることが間違いだ。ただひとつ確実なのは、新鮮である。ちんこ解放型(トランクス)でもなければちんこ固定型(ボクサー・ブリーフ)でもない。大抵の35億人はその3タイプしか穿いたことがないと思うので、初体験のインパクトは大きいと思う。
どちらでもないということは何型なのかと言えば、ハイブリット型ということになるか。肉棒と金玉肉袋それぞれにきちんと居場所を与えてやるという意味では、固定されている。しかしその固定した状態で、ちんこは自在である。そのため解放されているのだとも言える。
もっとも見た目の異様さは大きな問題だ。ちんこに良かれと思って甘やかした結果、とんでもないモンスターを生み出してしまった、みたいな感じがある。前にも書いたが、ちんこの形って、平常時にしろ勃起時にしろ、ネイキッドの状態でしか、それまでの人生に登場してこなかったので、それの布を纏った姿というのは、祭りとか、呪術とか、なんかそんな気配さえ彷彿とさせる異様さがある。それこそぞうさんパンツと言うのなら、タイなどで祭典の際にきらびやかな布や飾りを着けてもらった象のようである。それは特別な仕様であり、それゆえに異様だ。だからその異様さは、日常では受け入れられない。ぞうさんパンツは、その名の通り、あまりにもちんこを象りすぎている(うまい)。そのためぞうさんパンツだけを穿いたような状態で、サウナ後の風呂上り、鏡の前で化粧水を塗ったりドライヤーをしたりはできない。別に、やったら逮捕されるわけではないが、一般常識として、公序良俗として、やらないほうがいい。
でも考えてみたら不思議な話なのだ。素っ裸のままドライヤーをする姿は、そこまで奇異ではない。そもそもサウナや浴室では、全裸である。ぞうさんパンツ姿は、そこに布を足したものだ。それだのに、全てをさらけ出している状態よりも忌避される。だがその一点をもって、理屈になってないじゃないか、などと言い張るつもりはない。そんな現象はこの世にいくらでもある。そして僕は別に、ぞうさんパンツがもっともっと世の中に受け入れられてほしい、と希っているわけでもない。
それでも一応、扉の向こう側にいる人間として、そこまで頭から拒まなくてもいいんだよ、ということを僕は述べたい。主張というほどの熱情はない。述べたい。すなわち、勃起にも対応する(穿いたまま勃起できる)ということは、勃起したからと言って脱ぐ必要がないということを意味する。ここがこのタイプの下着の真骨頂ではないかと僕は思う。これまでの下着では、勃起をしたら脱ぐ必要があった。勃起は、外気に晒されなければならなかった。それがこの下着では布に護られ続ける。暴走するたびに家から追い出されていた勃起を、我々は受け入れることができる。問題児だからってすぐに排斥してしまう世の中は間違っている。寒空の下、か弱き勃起を孤立させたりしない。我々(CHI)NPO法人は、そのような活動を通して、勃起の健全な発育に取り組んでおります(寄付をお願いします)。
すっかり前置きが長くなった。作ったのはこのようなものである。
ショーツのカッティング、縫製も見事なものだが、やはり目が行くのは前回の記事で紹介した、勃起した男性器の模型だ。この造形。肉棒のバキッとした感じとカーブ、そして金玉肉袋の張りのある丸み。もうこんなの、アップ出来たらダメなんじゃないのBlogge、と思う。
真横から見た姿はこうなる。なんか本当にすごい。勃起が勃起として布を纏うとは、こういうことなのだ。実際これはどうなんだろう。形状的にはあんまりな感じがあるけれど、しかし布で覆っているのだから、YouTubeとかでこの姿で登場するのはどうなんだろう、許されるのかな。隠れているからセーフかな。誰か実験してみたらいい。僕は愛する家族もいることだし、とりあえずしないでおく。
語りたいことが多すぎて、話があまり進まなかった。勃起に対応するショーツは、勃起をしていないときはどうなってしまうのか問題については、次以降の記事で触れることにしようと思う。つづくよね。