2023母の日ワンピース


 母の日のプレゼントが、2年ほど前から手作りの服になっている。どうやらもうこれは定番化したようだ。今年も一応、「なんか欲しいものある? 手作り品なら時間が掛かるけど」と、もしも買って済ませられたら楽だなあと考えつつ訊ねたところ、数日後にワンピースが送られてきて、「これと同じものを作ってほしい」という希望が伝えられた。そう来たか。
 ワンピースは某ファストファッションのもので、作りそのものは簡単そうだった。型紙ではなく、実物から型を取るのは初めてだ。しかも「これと同じものを――」には続きがあって、「丈は10センチくらい長く、袖も3センチくらい長く、衿ぐりは少し狭くしてほしい」と、アレンジのリクエストもあった。さすが実の母。実に遠慮がない。
 毎年そうであるように、依頼を受けてすぐは億劫さが強く、しばらく放置していたが、母の日が近づき、そしてしっかり過ぎたあたりで、観念して作業を始めた。既成のワンピースの型を取るためにはだいぶ縫いをほどかなければならないかと危ぶんでいたが、意外となんとかなった。袖が筒袖ではなくラグランであったのも、最初に見たときは「しかもラグランなんかい」と面倒に思ったのだが、型を取るという点ではひとつひとつのパーツが平面的なので、意外とやりやすかったかもしれない。
 というわけで出来上がったのがこちら。


 モデルはファルマン。別の布で作った試作の段階から着てもらい、「腋がきつい」とか「衿ぐり狭すぎ」とかアドバイスをもらった。体型がほとんど一緒なので便利だ。ちなみに当初、写真はジョニファーに着せて撮ったほうが楽かと思い、試したのだが、さすがに肩幅がきつくて着せることができなかった。
 生地は見ての通りの若草色。シンプルなような、どっこい派手なような。あまり売ってないし、売ってても買わない感じだと思うので、それこそ「生地はおまかせ」で作るプレゼントの醍醐味だろうと思う。たしか綿100%だった気がするのだが、織り方が少し特殊なのか、ニットほどではないが微妙な伸縮性があり、少し不思議な生地だ。夏に着るには少し暑いかもしれないが、わりと長い季節着られるのではないかと思う。写真だと特にだが、ちょっと皺が目立ちやすいかもしれない。
 もう1枚。


 毎年のことながら、なんとなく1枚では心もとなく、2枚作った。柄がおまかせということもあり、保険だ。1枚が無地なので、こちらは思いきり柄。写真は少しトーンが暗くなった。実物はもう少し明るい茶色で、柄の中の青や黄色の部分も鮮やかである。いい生地だなあと思って作ったのだが、いざワンピースにしてみると、ちょっとうるさすぎる感もある。そのため、ムームーとか、アッパッパとか、なんかそっち系にだいぶ傾いているな、と思う。ただし高齢女性というのは、冷静に考えたらその生地めっちゃ派手だな! みたいな服をけっこう普通に着るものなので、案外すんなり受け入れるだろうとも思う。前回のシャツワンピースの、えらく派手になった青いほうも、前回の帰省のとき普通に着ていた。
 こんな2点を仕上げ、発送した。到着は今日あたりか。気に入ればいい。ちなみに今年は、共布でマスクを作ることはしなかった。もう布マスクは作らなくてよくなったのだ。そんなコロナ収束の感じ方もあるのですね。