ファルマンが、服を選んで買うという行為を死ぬほど億劫がった結果、消去法として「そうだ、夫に作ってもらえばいいんだ」という解決法に至る。失礼な話ではないか。一般的にハンドメイドというものは、「手作り」や「オーダーメイド」という部分に価値を見出す人が所望するものであって、服選びがめんどくさいから、という理由で選ばれるものではないと思う。しかしもちろんタダというわけではなく、報酬は出すというので、それならということで、割り切って製作に取り掛かった。
注文は当初、ブラウス2枚、ワンピース1枚ということだったのだが、製作中に立ち寄った手芸店で、安くていい感じの生地に出会ったのでそれも追加し、ブラウスが3枚となった。ちなみにすべて同じ型紙、ワンピースもブラウスの丈の長いver.である。
1枚目がこちら。
白地に金色のストライプ。作っているとき、ちょっと派手すぎるかな、食いだおれ太郎みたいになっちゃうかな、と危惧していたが、完成して着てみたらそうでもなかった。地味すぎず、いい具合に陽気な感じで、ちょうどいい。最初に完成したので、撮影時にはもう何度も着ており、早くもこなれている。ちょっと皺になりやすい生地だな。ちなみにこの生地は、今回唯一、僕の生地在庫から採用した。ニット生地ではないのだが、かつてこの生地でショーツを作ったことがある(アップはしていない)。何枚か、ニットではない生地でショーツを作ったことがあったが、やはり通気性の悪さなどから問題があり、すぐにやめた。
2枚目はこちら。
3枚目はこちら。
そしてワンピースがこちら。
ワンピースなので、この生地だけ長めに注文していたのだけど、手元に届いたものを見て、「これは……」と思った。画像ではあまり伝わらないかもしれないが、ちょっとサテンっぽい、テラテラな生地なのだ。そしてこの柄である。果たしてこれでワンピースを作ってしまって本当に大丈夫だろうか、と嫌な予感を抱えつつ、それでも作った結果、こうなった。これは、なんだろう。どういう文化圏の人の衣装だろう。満州の富豪とかかな。実際ちょっと中華服っぽいんだよな。前を閉じずに羽織るだけにすると、少し解決の糸口が見えてくる感じはあるのだが、ファルマンは「私にはこれは無理、着こなせない」と匙を投げてしまったので、そのうち母に横流しするかもしれない。母だって着るかどうか分からないが。
というわけでブラウス3枚だけになってしまったが(1枚追加しておいてよかった)、とりあえず注文には応えた、夏のハンドメイドであった。簡単な作りなので、いい生地に出会ったら、また作ってやろうと思う。