Nobitattle オータムコレクション 2024


 スイムウェアのバリエーションって愉しくて、どんどん違うものが欲しくなる。でも他のジャンルでは、僕はあまりそういう欲求はない。靴やバッグ、メガネに時計など、そのときどきの気に入ったひとつがあればそれでいい。しかし次々に新しいものが欲しくなるものが、スイムウェア以外にひとつだけあって、それがショーツであることを思えば、要するに僕はちんこの着せ替えが好きだということなのかもしれない。
 世の中には、ぬいぐるみや人形などを溺愛し、景勝地などにそれらを持っていって(当人にとっては「連れていって」かもしれない)、写真に収めるという行為をする人たちがいるそうだ。彼らにとってそのぬいぐるみや人形は生きていて、寵愛の対象で、いろんな経験を味わわせてやりたいという親心のような気持ちから、そんなことをするようである。
 これまではそんな人たちのことを、奇特な人たちだな、としか思っていなかったが、スイムウェアやショーツを異常なまでに生産するのは、ちんこにいろんなものを纏わせてやりたいからだ、ということを喝破したあとでは、少し共感できる気がしてきた。ただし、共感できますよ、僕もちんこを……、と言った時点で、向こうから全力で拒否されるだろうが。
 そして自分のちんこのためにバリエーションを増やすにあたり、ただ買って自分用のそれを1枚作っただけではどうしても余ってしまう生地で、同型のものを製作し、販売するというのは、とても趣味と実益に適っているのだな、と改めて思った。だから、これで出品したものがコンスタントに売れて、その収益で生地が買えれば、本当にいいサイクルが生れるのだけど、哀しいかな、なぜか今そういうことにはなっていない。しかしなっていないけれど、こうして文章にして分かったのは、たとえ売れなくたって、どうせ自分用、自分のちんこ用に買った生地なのだから、まったく損はしていない、ということだ。こっちは好意で、端材で作ったものですけどよろしければどうぞ、くらいの感じで販売しているのだ。世間がいらないというのなら、それでいい。そこをなんとか、などとすがる気持ちはない。
 というわけで、季節は巡り、秋の新作を紹介しようと思う。夏が終わり、スイミングのベストシーズンは終了したように思うかもしれない。でも実はそんなことないのだ。実体験からしみじみとそう思う。生きているだけで疲れる夏は、めっちゃ寒い真冬にも匹敵する、スイミングに向かない季節だ。これから11月いっぱいくらいまでが、実はいちばんいい時期だと思う。新しい、いい季節に、新しい、いいスイムウェア。いかがですか。
 まずこちら。


 これまで作ってきたものの色味を眺めたとき、ピンクや紫あたりが抜けているな、と思ったので、その部分を求めて生地を選んだ。販売ページでは特になにも謳われていなかったが、ちょっと光沢仕様のような感じになっていて、なかなか派手というか、バタフライ柄ということもあり、キャバ嬢のビキニとかにふさわしそうなデザインである。だとすればこれでプールに繰り出すときは、自分にしか見えない成分で出来たキャバ嬢とペアルックコーデのスイムウェアでプールに来た半グレの輩、という気持ちでいれば愉しいと思う。つまり一種のコスプレと言えるかもしれない。
 次はこちら。


 夏が終わったのに、どこまでも夏の柄。「Aloha」「OCEAN」「Carifornia」「PARADISE」「SERF RIDER」などのロゴが並ぶなか、しっかり「SUMMER」の文字もある。でもまあ、つい先ほど真っ向から否定したが、イメージにおいてスイミングは夏のスポーツなので、夏以外にこれを穿いて泳いでいていても、あまり違和感はないと思う。生地を購入しているお店は、別に水着生地専門店ではないので、デザインのカテゴリとして、この生地のように「夏」もあれば、もちろん「冬」もある。冬カテゴリの生地には、クリスマスツリーやサンタ、雪の結晶などがデザインされていて、さすがにそれらでスイムウェアを作る気にはならない。だからなにが言いたいのかと言えば、たとえ真冬にこのスイムウェアで泳いでいたって別にいいと思うよ、ということである。
 続いてこちら。


 オータムコレクションとして今回いちばん適当なのはこの生地だろう。なにしろこれはカテゴリ「秋」にあった。言わずもがな、ハロウィーンというわけである。ハロウィーンはハンドメイドと親和性が高いのだと思われ、わりと数多くデザインが用意されていたが、「Trick or Treat」のロゴであったり、ジャック・オ・ランタンであったりだと、あまりにもハロウィーン感が強すぎて扱いづらい。そういう意味で、このあたりがいい落としどころだな、と思って選んだ。ハロウィーンと言えばハロウィーンだけど、別にそういうことではありません、と言えないこともない、実に絶妙な塩梅ではなかろうか。おばけがちんこのあたりを取り巻いている、というふうに捉えるのもいい。たしかにおばけが仲間かと思って寄ってくるほどのおばけちんこだものな、という気もしてくる。
 続いてこちら。


 チェック柄は、柄合わせをしないといけないので、そのぶん裁断も縫製も手間なのだが、うまく仕上がると「おー」という感じになるので、嫌いじゃない。そして黄色という色味もまた、これまであまり作ってこなかったな、と思ったのでセレクトした。注文画面ではもう少し淡い、クリーム色に近いレモン色くらいの感じかと思っていたのだが、届いたものはかなり鮮やかな黄色で、これはとても嬉しい誤算だった。ところでフロント中央の先端部分が、左右の柄が組み合わさって木の葉型の図形を作り出しているが、これが位置的にも陰唇を連想させ、なんだかとてもいいな、と気に入っている。
 続いてこちら。


 こちらはこれまでの4つとは別のお店で買った生地で、だいぶ薄手だ。そのためジョニファーに取り付けたちんこ模型の凹凸が表面に浮き出てしまっている。そのくらいに薄いのだ。そして生地が薄くて、ちんこ模型の凹凸が浮き出るということは、実際のちんこでも同じことが起り得るわけで、なかなかスリリングな生地だと言える。さらには柄も柄なので、実はまだいちどもプールに穿いていったことはない。かわいい気がする一方で、はっきり言って、ちょっとさすがに一線を超えているんじゃないかな、と思うのだった。それでもいちおう販売はしようとは思うけれど。
 最後にこちら。


 こちらも別のお店で買った生地。もちろんツーウェイなのだが、質感がだいぶ違う。こちらは逆に厚みがある。しかしその一方でやけにしなやかでもある。アウトレット品だったが、実は「いい生地」なのかもしれない。購入の際、かなり長尺で発注していたので、以前から何枚か、この生地で自分用のものを作っていた。スイムウェアはわりと細かく型紙を修正しているので、そのたびに最新版として新たに作るのだった。
 というわけで、今回この生地で改めて作ったということは、また型紙を修正したということである。前回、サマーコレクションのラインナップの画像と比較してもらえば判ってもらえると思うが、フロント部分の形が違う。図解するとこう変わった。 
 こうだったものが、

 こうなった。
 フロント部分は、要するにちんこを収納するための部分なので、もっとちんこの形に寄り添う必要があるのではないか、ということを作りながら思ったのだった。そのため左右2枚のフロント布で、これまでは楕円形を描いていたのを、正円に近付けた。正円と言っても、下方は金玉肉袋を包み込むイメージで膨らみを持たせ、上方は紐通しのための穴が開けられるギリギリの幅まで窄ませた、かなり恣意的な正円である(ちょっとなに言っているのか分らない)。こうすることで、紐を中心部でキュッと締めると、フロント部分が斜め前方に向けて引っ張られる感じになり、それは肉棒と金玉肉袋という男性器全体を、さながら巾着袋に入れてぶら下げているような、一種独特の分離感、独立感が生じる。この感じが、すごくいい。僕がたまたまこのスイムウェアをネットで見つけて購入したユーザーであれば、たぶんそんなレビューを書き込むと思う。
 今回紹介した新作は、現時点でまだ出品していないが、今晩あたりから出していこうと思っている。いつものように販売ページのアドレスを置いておく。


 「いいね」がポツポツついて、でも売れはしなくて、そうなると運営会社から、「ちょっと値下げしてみたらどうですか?」という提案が来る仕組みになっているようで、そんなメッセージが送られてきている。悩んでいる。当初、3800円だったのだ。それがいまは3300円。それでも売れないのでまた下げるって、ちょっとあまりにかっこ悪い気がして、なかなか踏ん切りがつかない。でも売れたいな。在庫ばっかり増えるんだよな。