今年の6月、「ハーフとリオの物語」で書いた、いつものお得意様から、改めてリオバックの注文をいただく。前回リオバックの発注を受けながら、「細けりゃええんやろ」という低い意識で、Tバックめいたものを作った私めに、もういちどチャンスを下すったのだった。
というわけで今度こそ、ハーフバックとTバックの中間ということを意識して、線を引き直した。
それがこちらである。
露出の先にあるのは、品格か、覚悟か。
Nobitattle.
以前のハーフバックと、そして前回のTバックまがいのものと並べると、このようになる。
守りたい布と、攻めたい肉。
尻で繰り広げられるのは、欲望の攻城戦。
Nobitattle.
こうして並べると、なるほどなあ、と納得するところも多く、前回も書いたが、やはりこのお得意様は僕に修行をつけてくれているのではないかと思えてくるのだった。 出品したところ、すぐに買ってもらえ、今回の反応は上々だった。よかった。
もしかすると修行なのかもしれないと思うのは、一連の流れを経て僕の美意識は少し変化し、これまでは背面の脚ぐりから尻たぶの下辺がはみ出ることを強く忌避していたのだが、まだリオの境地には至っていないものの、軽めのハーフバック的な要素ならば取り込んでもいいのではないか、もとい、尻たぶを絶対にはみ出してはならないという強迫観念が、デザインの幅を狭めていたのではないか、と考えるようになり、その発想のもと、このたびまた新たに、日常的に製作して出品する基本パターンの線を引き直すことと相成ったのだった。これは、ひたすら個人的に自分用のものを作るだけでは決してたどり着けなかった地平であろうと思う。外の世界に向けて販売を始めてよかった。
というわけで新たに到達した姿がこちらである。
小さくしたら、大きくなった。
Nobitattle.
いつものことながら、ただこれだけを見ても、なにがどうなったのか分かりづらいと思うので、比較として、いまYahoo!フリマで「旧パターン」として1500円で販売しているもの(左)、「新パターン」として2500円で販売しているもの(中央)と並べる。
小面積、大存在感。
Nobitattle.
だいぶ小さくなったということが見て取れると思う。もはや左の旧パターンに関しては、ボックス型というよりスパッツ型なのではないかとさえ思えてくる。目の錯覚、意識改変だ。これもボックス水着として、面積が大きいほうでは決してない。
背面だとこんな感じ。
面積は減る、視線は増える。
Nobitattle.
旧パターンの画像だけ角度が少し違うが、まあ問題ないと思う。旧パターンには、「0.5分丈」とでも言うべき、ボトムスとしての脚を覆う部分があるのに対し、中央の新パターンは、腿の内側こそ、件の「尻たぶはみ出させない信念」から丈が多少あるが、側面に向かって線が持ち上がり、なにをもって腰と脚を分けるのか定義は知らないが、この水着の生地のある部分こそがその境界線なのではないか、と思えるような、腰だけを覆う仕上がりとなっている。そして今回の新・新パターンに関しては、尻たぶのリミッターを解除したものだから(ジョニファーの尻は硬いがゆえに、尻たぶがはみ出るということがないので、この変更が実際の穿いた姿にどのような変化をもたらすのか、いまいち伝わりづらいのがもどかしい)、新パターンにあった腿の内側の丈も消失し、それにより腿の内側を起点とした背面脚ぐりのカーブに余力が生まれ、サイド部分をこれまでよりも持ち上げることに成功した。
というわけで側面はこうなるのである。
“小さい”でしか届かない場所がある。
Nobitattle.
サイドを細くしたいという思いはずっとあって、それは、本当ならば競パンのようなビキニ型の水着を穿きたいのだけど、それはさすがに勇気が湧かないという引け目を持つ僕の、モテないから美女のロボットを量産する猿田博士のごとき、歪んだ欲望なのだった。
以前「ボックス型スイムウェアのブラッシュアップ記」(2024年11月)という記事で述べたが、そのときもサイドの幅を狭める挑戦をしていて、旧パターンのサイド幅が13.5cmであるのに対し、そのとき無理やり作ったものは、7.5cmだった。これである。
しかしこれは何度も言うように尻たぶをはみ出させない信念で作られているため、後ろから見るとこのようなことになる。
このときの記事でも、急なカーブにたどたどしさがあり、洗練されていない、と自ら認めていて、なのでこれを正式に採用することはない、もう少し試行錯誤する、と言っている。その後、2025年3月に完成したのが新パターンで、これのサイド幅は10.5cmとなっており、これでこの半年ほどは満足していた。
そんな葛藤の歴史を踏まえてご覧いただきたいのは、此度の新・新パターンである。
盛り上がれ、曲線パーティー!
Nobitattle.
どうであろう。曲線はきわめて自然。ボックス型と宣言して文句を言われる余地は一切ない。それでいてサイド幅の絞りを実現している。
それではここで満を持して、新・新パターンのサイド幅を発表することとしよう。
その幅、最も細い部分で、7.2cm。
ここまで。ここまで来たのだ。
ボックス型水着でありながら、サイド幅7.2cm。希求はここまで到達した。我ながら惚れ惚れする仕上がり。まだ出品はしておらず、旧パターン、新パターンに対してどういう扱いをするか悩んでいるところ。愉しい。これを発表したら世の中ひっくり返るぜ!