Nobitattle サマーコレクション 2025


 少し発表の間が空いてしまったが、スイムウェアはもちろん日々せっせと作っているのである。水着を作ることでしか得られない栄養素がこの世にはあり、そして僕はそれがちょっと過剰摂取気味であると思う。
 ちなみにだが、前回の投稿以来、水着はあまり売れていない。ひとつ前の記事に書いたように、お得意様による注文こそあったが、出品しているものがぽつぽつ動く、というような状況にはなっていない。なんでだろうなあと思う。マジで、めっちゃいいのにな。お手頃価格の備蓄米で食費が浮いた分、Nobitattleを買えばいいのに。売るほどあるから。
 というわけでこの期間中にできたものを紹介していく。まずこちら。


見た目が騒がしい? 
中身はもっとだよ。
Nobitattle.


  ペンキ柄というのだろうか。液体が垂れている感じの抽象的なデザインである。ほんのりと生命感も漂い、これで股間が突き出ているのだから、なかなかサイケデリックだ。大柄のため柄の取り方が難しく、画像のものなんかはフロントに黄色がまったく来ていないが、逆に黄色部分が多い個体もあって、販売の際には1枚1枚を別ページで販売したほうがよさそうだな、と思う。
 続いてこちら。


受粉ごっこじゃ、終わらせない。
Nobitattle.


 ピンク色ベースの、悪い夢みたいなカラーリングの野原の絵。花柄、生地の販売ページにたくさん種類があるので手が伸びがちなのだが、いざ手元に届いて水着にしてみると、あまりピンと来ないことが多い。今回もそう。おしべめしべを覆うものという意味で、花柄の水着というのは理屈には合っているのだけども。
 続いてこちら。

俺たちの縞は、逃げるため。
でもあいつの縞は、挑むためだ。
Nobitattle.


 ゼブラ柄。昔、上野動物園で、発情期だったのか、めちゃくちゃ勃起しているシマウマを見たことがあり、それ以来シマウマに関して性的なイメージを抱くようになった。このイメージは僕の個人的体験に依拠していて、世間的にはシマウマに関してその印象はあまりないだろうと思う。でも作った。普通にかっこいいし。もっとも目撃者の証言として、シマウマのペニスは縞模様ではない。それはそうだ。
 あとこの柄に関してもうひとつ述べたいこととして、ゼブラ柄ももちろんいいのだが、本当は虎柄でも作りたかった。ちょうど形状的にも、虎柄でこの水着を作ったらば、まるで鬼のパンツのようになって最高なんじゃないかという思いが、前々からあるのだ。しかしなぜか販売サイトには、オーソドックスな虎柄が用意されていないのだった。これは本当に残念で、だったらこんな所にではなく、販売サイトに正規の手段で要望すればいいのだが、まあそんなことはしないのだった。
 ChatGPTに考えてもらったコピー、音による韻ではなく、「逃」と「挑」の、漢字のつくりによる韻みたいな小粋なことをしていて、憎らしいと思った。
 続いてこちら。


波が立った?
ごめん、俺のシロナガスが跳ねた。
Nobitattle.


 白地に水色で描かれた、爽やかなクジラ柄。ちなみにこの生地は前にも購入し、作っている。去年のサマーコレクションで紹介しており、出品もしている。それにけっこう「いいね」がついて(売れてはいないのだが)、自分的にもわりと気に入っているので、新パターンでも作りたいと思い、改めて注文した次第である。前回の紹介時にも、「シロナガスクジラのペニスは3mだそうだ」という言及をしており、どうやら僕はクジラに対してそっちの感情しか持っていないようだ。
 あと、また販売サイトの柄の話になってしまうが、水中はズルなので別にすれば、陸上最大と言えば当然ゾウであり、ゾウと言ったらただペニスが最大という話ではなく、その特徴からペニスとの親和性がとにかく高いわけで、いい感じのゾウモチーフの柄があったら迷わず買うんだけどなあ、ということを前々から思っている。リクエストはしないが。
 続いてこちら。


ちょっと早摘み、でも甘い。
Nobitattle.


 レモン柄。スカイブルーの地の色と併せて、とても爽やかな柄である。こういうドットっぽい柄って下着っぽくなっちゃうんだよなあという懸念があったが、作ってみたら案外そんなこともなく、いい具合に収まったように思う。だって夏なんだから! 黒とか、紺とか、そんな水着穿いてる場合じゃないっしょ! 「レモン畑の神様が、こっそり仕込んだ罪」だよ! なんだそれ、って? ChatGPTの提案したコピーのボツ案だよ。なんだよ、レモン畑の神様って。俺のちんこ、レモン畑の神様がこっそり仕込んだ罪だったのかよ。
 最後にこちら。


いのちの可能性は、
こんなにも前に出ている。
Nobitattle.


 レモンの次はリンゴで果物シリーズ、ということで考えていたのだけど、この生地を見た家族が「え、ミャクミャク?」と言ってきて、なるほど赤と青と、ちょっと白(紐も含めて)という色味が、薄目で見たらミャクミャク柄に見えるかもしれないな、と思った。リンゴ柄として作るか、ミャクミャク柄として作るかで、別に仕上がりに変化はないのだが、穿いてるときの気持ちが変わってくると思う。そしてキャッチコピーも。このコピーは実にいいな。出生率下がりまくりの国で行なわれている、いのちがテーマの、しかし医療や健康ばっかりで、新しい命を生み出すための性的な言及が一切ない、そして前回の万博を知るような年金受給のリタイヤ世代ばかりが詰めかける、空虚すぎる今回の万博を、こんなにも上品に、痛烈に揶揄するメッセージはないだろう。すばらしい到達点。
 以上である。もしかすると僕の水着作りは、フリマサイトでの販売なんかじゃなくて、むしろアート活動として捉えるべきものなのかもしれないと思った。