パターンの大幅な修正に取り組み、このたびそれが無事に完遂された。はっきり言って自信作である。とても満足いくものとなり、ひとりテンションがぶち上がっている。いま、パピロウのスイムウェア界隈、めっちゃ熱いよね。マジそれな。
その新パターンで作る新しい生地も大量に仕入れたので、その完成品の紹介とともに新パターンの特長を説明したらいいかとも思ったのだけど、それだとだいぶ先のことになりそうで、ちょっと我慢ができそうにないので、ここでひとつ、その説明だけの記事を投稿することにした次第である。
それではまず、こちらが新パターンスイムウェアである。ババーン!
使用生地は、昨年のオータムコレクションにも登場したもの。製作している主流の生地とはだいぶ質感が異なるのだけど、伸び具合に大差はないのでモデルとして支障はない。長尺で買ったため、パターンの変遷のたびにこれで作るということをしてきたが、この生地も今回でとうとう使い切ってしまった。ちょっと感慨深い。なんなら追加でまた買いたいと思うが、もう販売ページが存在しなくなってしまっている。生地は一期一会だ。
さて新パターンなわけだが、しかしこの画像だけでは、これまでのものと較べてなにがどう変化したのか分かりづらいだろうと思うので、オータムコレクション仕様のものと並べて説明してゆくことにする。
左が旧、右が新である。
まずひと目で判るのは、面積の小ささだろう。これまでだってだいぶコンパクトなボックス型だったのだが、それを今回ますます研ぎ澄ませた。そもそも今回のパターンリニューアルの動機が、「ボックス型スイムウェアのブラッシュアップ記」で書いたように、サイド部分をもう少し短く(細く)したいという欲求だったので、こういう結果になるのは当然のことである。
具体的な数字で言うと、へその中央からスイムウェアの上端までの距離、これが旧で14.5cm、新で15cm。これはそこまで変わっていない。これについてはギリギリまでいろいろな葛藤があったのだが、これ以上浅くすると陰毛が普通にはみ出るので、こういう結論となった。
だからやっぱりサイドを細くしようと思ったら、裾を詰めるしかない。ジョニファーというのは、太ももの途中、膝の少し上あたりで脚が終わっているのだけど、床に接するそこからスイムウェアの裾までの距離、これが旧で15.5cm、新で18cmとなっている。
その結果、サイド部分の幅は、旧で14cmだったものが、新では10.5cmとなった。「ブラッシュアップ記」で8.5cmだの7.5cmだのに挑戦したけれど、あれはやっぱり無理があると思ったので、このくらいのところで落ち着いた。いいと思う。10cmを切ってくると、それはもはやボックス型とは言いづらくなってくる。
バックショットはこんな感じで、前回「たどたどしい」と懸案していたこちら、
このときからだいぶ洗練されたということが判ってもらえると思う。なにしろ2月中旬にアップしたこの記事の時点から、今回の修正版の完成まで、10枚以上試作したのだ。ストイックすぎるだろう。本当に働いていたのか。もしかしてこれが仕事なんじゃないのか。そうじゃないのだ。去年やっと2枚売れ、今年はまだ1枚も売れていないのだ。もはや怖い。どういうモチベーションでやってるのかしら、この人。
そして10枚以上の試作をする中で到達した、今回の新パターンで最も大きな変化というのが実はあって、それはこちらの画像を見ていただければ分かると思う。
横から見た図。さあ大きな変化とはなんでしょうか。
ファルマンにも同じ問いかけをしたところ、前方の突き出しにばかり目が行くようで、それに類する回答しか出なかったのだけど、フロントの盛り上がりに関しては特に変更はしていない。そうではなく、劇的に違う部分があるだろう。旧にはあって、新ではなくなっているものがあるだろう。
分かりましたか。
正解は、接ぎ目です。
これまでは、フロントとバックが両サイドで縫い合わされていた。バックは1パーツだが、フロントは、左右の腿部分と、左右の男性器部分という4パーツで構成され、その合計5パーツでぐるりが出来ていた。でも型紙を修正していく中で、左右の腿部分とバックは大きな1枚で問題ない、問題ないどころかそのほうがもろもろ好都合だと発見したのだった。その結果が上の画像で、見た目的にシュッとしているのはもちろんのこと、イラストっぽい柄の生地であればここに分断がないのはとても効果的だろうし、なにより裁断および縫製において、パーツは少なければ少ないほど楽なのは言うまでもない。まさにいいこと尽くめである。1ヶ月間、真剣に取り組んだ努力に対するご褒美のような閃きであった。
というわけで無事に完成した新パターンで、これから続々、新しいものを作っていこうと思う。売れて、意欲的になり、作品がどんどん磨かれていくというのはよくある話だが、僕の場合、売れていないのにそれが成っているので、稀有で貴い例であると思う。